米食品医薬品局(FDA)が、歯科医師や矯正歯科医の処方と監督なしに消費者へ直接配送されるクリアアライナーを使用しないよう警告しました。開封してそのまま装着できるこうした製品をFDAが認可したことは一度もない、というのが今回の発表の要点です。
FDAは10月1日に公開した患者向け案内で、クリアアライナーは処方が必要な医療機器であり、市販前にFDAの審査と認可を受けなければならないと明らかにしました。処方や専門家の監督なしに消費者へ直接販売される製品を認可したことはない、という点も併せて強調したと米国歯科医師会(ADA)のニュースレターが報じました。

FDAが公開した被害事例と認可の確認方法
FDAは、専門家の監督なしに非対面でクリアアライナーを使用していた患者から寄せられた被害事例を公開しました。新たに生じたり悪化したりした歯の痛み、顎の痛み、咬み合わせの問題、かえって悪化した歯並び、歯の間に新たにできた隙間が代表的な例です。FDAは、痛みや予期しない症状が現れた場合は担当の歯科医師や矯正歯科医を訪ねて評価を受けるべきだと勧告しました。遠隔モニタリングを含む非対面診療そのものを禁止したわけではありませんが、定期的な対面診療が必ず必要だと一線を引きました。
FDAは、製品を選ぶ際に「登録」と「認可」を混同しないよう呼びかけています。一部の企業が掲げる「FDA登録」は、製造業者が施設と製品リストを届け出たという意味にすぎず、FDAがその製品を審査して承認したことを示す「FDA認可」とは異なります。消費者は担当の歯科医師に直接確認するか、FDAの510(k)データベースで製品コード「NXC」を検索して認可の有無を確認できます。
米国矯正歯科学会の要求と警告対象の販売方式
今回のガイダンスは、米国矯正歯科学会(AAO)が長年求めてきた結果でもあります。AAOのマイク・ダーヴィン会長は、今回の発表はAAOと会員による数年にわたる要請を反映したものであり、臨床的な監督なしに提供されるクリアアライナー矯正治療における患者安全の問題を浮き彫りにする措置だとの見解を示しました。AAOは昨年9月にも会員1,745人が署名した書簡を提出し、処方なしで販売される製品の副作用事例を文書化して伝えていました。
病院で歯科医師が処方し、各段階を直接管理するインビザラインのような製品は、今回の警告の対象ではありません。FDAが問題視しているのは、診断と処方のプロセスを省き、アンケートや数枚の写真だけでアライナー一式を郵送する販売方式です。こうした方式を広めた米スマイルダイレクトクラブは2023年末に破産して廃業しましたが、今回の警告は業界全体への再確認という性格が強いといえます。
韓国の海外直接購入取り締まりと医療機器分類
韓国でも同種の製品が一度、取り締まりの対象になったことがあります。食品医薬品安全処(MFDS)は2023年、クリアアライナーを海外直接購入や購入代行で広告・販売していたウェブサイト92件を摘発し、アクセスを遮断しました。当時、大韓歯科矯正学会のペク・スンハク会長は矯正歯科医による正確な診断と十分な相談を経て使用を決めるべきだと強調しました。
韓国でクリアアライナーは「歯科矯正装置用レジン」というクラスII医療機器に分類されており、歯科での診断なしに正式に使用することはできません。米国では処方なしで直接配送される製品が問題になりましたが、韓国では海外直接購入や購入代行で同じ製品を持ち込む経路が、同様のリスクを抱えているといえます。歯科を訪れる人が今できることは、自分が使っている、あるいは使おうとしているクリアアライナーが、歯科医師の処方と定期検診を含む製品かどうかを確認することです。

