質問

歯磨きを一生懸命しても歯が黄ばんだり、まだらに見えたりするという悩みです。ホワイトニング治療や歯磨きだけで元の色に近づけられるのか知りたいという相談です。

簡単な回答

着色が歯の表面だけにあるのか、歯の内側まで及んでいるのかによって方法が異なります。食べ物や歯垢による表面の着色は、歯科でのクリーニング(スケーリングと表面清掃)と研磨だけでもかなり薄くなります。一方、歯の内側の象牙質まで色が変わっている場合は、歯磨きや表面清掃では消えず、化学的ホワイトニングや他の修復治療が必要です。どちらに当てはまるか、ホワイトニングがどれほど効果があるかは変色の原因によって異なるため、診察室で直接確認する必要があります。

なぜそうなるのでしょうか?

表面の着色と内側の変色は生じる場所が異なります

歯の色は、表面を覆う半透明のエナメル質を透過し、その内側の象牙質で反射する光によって決まります。そのため、着色がどの層にあるかによって、取り除き方がまったく異なります。

表面の着色(外因性変色)は、歯の外側表面に色素が付着して生じます。コーヒー、茶、たばこ、色素を作る口腔内細菌がよくある原因で、口腔衛生が悪いとより目立ちます。この種の着色は歯科でのクリーニングと表面研磨でほとんど除去でき、それでも残る薄い着色層はマイクロアブレージョン(酸と微細な研磨粒子でエナメル質表層を0.2~0.3mm以内で削り取る術式)で整えることができます。

内側の変色(内因性変色)は、エナメル質や象牙質の内側深くにある色素沈着や構造変化によって生じます。成長期にテトラサイクリン系抗生物質を服用した場合や、水道水のフッ素濃度が高い地域で育った場合(フッ素症)、外傷で歯の神経(歯髄)が損傷した場合、加齢とともに象牙質が内側で厚くなる場合、虫歯や古い修復物が漏れて内側から着色する場合などが原因として挙げられます。こうした変色は表面をいくら磨いても消えません。

ホワイトニングが効くかどうかは原因と歯の状態によって分かれます

神経が生きている歯(生活歯)の変色には、歯科で行うホワイトニング治療でアプローチします。診療室で30~35%の高濃度過酸化水素を塗布し、熱や光で反応を促進する方法と、歯科で個人用トレーを作製し、10~15%濃度のホワイトニング剤を夜間装着するホームホワイトニングの方法があります。ホワイトニング治療は施術直後には歯が一時的に水分を失い、実際より白く見えるため、色が安定するには最低3回以上繰り返す必要があり、患者3人のうち2人程度は施術後1~4日間、一時的にしみたり歯茎が刺激される感覚を経験することがあります。

ただし、原因と色調によってホワイトニングへの反応は大きく分かれます。一般的に、黄色く変色した歯は灰色や青灰色系に変色した歯よりもホワイトニングに反応しやすい傾向があります。テトラサイクリンによる変色は程度によって1~4段階に分かれますが、帯状の模様がはっきりしていたり非常に濃い場合はホワイトニングだけでの改善は難しく、6か月程度の長期ホームホワイトニングを試みられる程度です。一方、褐色を帯びたフッ素症は生活歯ホワイトニングに比較的よく反応し、表層に限局している場合はマイクロアブレージョンだけでも改善することがあります。

神経治療(根管治療)を受けて神経のない歯(失活歯)が内側から灰色や褐色に変色した場合は方法が異なります。歯の内側の歯髄腔にホワイトニング剤を入れ、内側から色を抜く失活歯ホワイトニングを用います。根管充填材の上部をセメントで密封してホワイトニング剤が根の先端へ漏れないようにし、ホワイトニングを終えた後は歯頸部外部吸収(歯根の上部が溶ける副作用)を防ぐため、歯髄腔内に水酸化カルシウムを2週間ほど詰めておきます。古いアマルガム修復物のために内側がひどく黒く変色した歯は、ホワイトニングよりもその部分を再修復するほうがよい場合もあります。

ホワイトニングだけでは不十分な場合は他の方法も併せて検討します

変色が重度であったり、歯の形自体に問題がある場合、またはホワイトニングで満足のいく色が得られない場合には、ベニア(歯の唇側面に薄い歯の色の材料を貼り付ける修復)を検討することもあります。重度のテトラサイクリン変色や広範囲のフッ素症、摩耗や酸蝕で表面が傷んだ歯などがベニアのよくある適応です。ただし、ベニアは歯の表面を一部削る必要がある場合が多く、ホワイトニングとは治療の性格自体が異なるため、どの方法が適しているかは変色の原因と歯の状態を診察室で直接確認したうえで決める必要があります。