歯槽骨(歯茎の中にある顎の骨)が著しく減少した顎には、標準的なインプラントを埋入する方法がありませんでした。まず骨を移植して厚みを増やすか、それも難しければ取り外し式の入れ歯に頼るしかありませんでした。ここ数年、この隙間を埋めているのが、CTで撮影した顎の骨の形状そのままにチタン製フレームを3Dプリントし、骨の表面に載せる骨膜下インプラントです。2026年までに発表された臨床研究をまとめたメタ分析では、短期的には90%を超える生存率が、長期的には半数前後まで落ち込む生存率が、共に示されています。

骨の中ではなく骨の上に載せる

歯科で一般的に使われるインプラントは、ネジのような形をしたチタン製の支柱を顎の骨の中に埋め込み、骨がその支柱を包み込むように結合するオッセオインテグレーション(骨結合)を待つ方式です。この方式が成り立つには、支柱を埋め込めるだけの厚みのある骨が残っている必要があります。歯を失ったまま長期間放置されていたり、歯周病で骨が大きく吸収されたりした顎では、その厚みが確保できません。

骨膜下インプラントはこの逆を行きます。骨の中に食い込ませる代わりに、骨の表面(骨膜の下)に載る薄いチタン製フレームを組み込みます。患者のCT画像を3次元で構築し、残っている骨の凹凸をそのまま写し取ったCAD設計データを、金属粉末を層状に溶かして積み上げる3Dプリント(直接金属レーザー焼結)方式で造形します。フレームは数本のネジで骨の表面に固定し、その上に人工歯を装着します。

この概念自体は新しいものではありません。手作業で型を取り鋳造していた従来の骨膜下インプラントは、骨と結合せず固定するだけの装置として設計されており、長期成績が芳しくなく次第に使われなくなりました。2017年、ベルギーのモーリス・モマールツ(Maurice Mommaerts)研究チームがこの概念を3Dプリントで再現し、AMSJI(積層造形骨膜下顎インプラント)という名称を付けました。その後、CT撮影と設計ソフトウェアの精度が向上するにつれ、複数の研究チームが後に続きました。

骨移植と頬骨インプラントを不要にする

歯槽骨が不足した顎で標準的なインプラントを使うには、骨を移植して厚みを増やすか、上顎の奥にある頬骨まで到達する長いインプラントを使う方法がありました。どちらも負担が大きい方法です。移植した骨が吸収されたり脱落したりすることがあり、骨を採取した部位にも損傷が残ります。頬骨インプラントは目の周囲にまで及ぶ手術であるため、眼窩蜂窩織炎(目の周囲の炎症)や複視といった、まれではあるものの重篤な合併症が報告されています。

骨膜下インプラントはこうした手術を必要としません。新たに骨を付け足さず、残っている骨の表面に載せるだけなので、手術は一度で完結し、当日のうちに仮の補綴物を装着する即時荷重も可能です。インプラントをコンピューターで事前に計画し正確に埋入するガイド・ロボット手術で扱われる精度の比較は、埋入できる骨が残っていることを前提にした話です。骨そのものがほとんどなく入れ歯に頼らざるを得なかった患者にとって、骨膜下インプラントは固定式の歯を再び使えるようになる選択肢として登場したといえます。

短期的には良好だが、長期では上顎で明暗が分かれる

成績は追跡期間によって変わります。2024年に発表されたシステマティックレビューは、13件の研究・227本のインプラントをまとめ、平均21カ月追跡した結果、97.8%がそのまま機能していたと報告しました。2026年に発表されたメタ分析では、追跡期間を3年以内に絞ると生存率は97.8%と近い値でしたが、全期間を合わせると92.4%まで低下し、6年間追跡した研究1件では54.1%まで落ち込んだと伝えています。ポーランドで12年間観察された下顎の骨膜下インプラント10本のうち、そのまま残っていたのは7本(70%)にとどまり、3本は骨が吸収されたり肉芽組織が増殖したりして除去されました。

問題が集中しているのは、おおむね上顎です。368本のインプラントをまとめた別のメタ分析では、歯茎が開いてフレームが露出する軟組織離開が全体の28.6%に見られ、この離開がインプラントの完全な喪失につながるリスクは、上顎が下顎より3.8倍高いという結果でした。なぜ上顎でより失敗しやすいのかは、まだ明らかになっていません。研究チームは、上顎と下顎にインプラントを埋入した患者群の重症度の違いが影響した可能性があるとみています。失敗のリスクは時間とともに一様に増えるのではなく、術後35カ月と70カ月前後で階段状に2度跳ね上がりました。

実際に骨と結合するかは、確認され始めたばかり

骨膜下インプラントはもともと、骨と結合せずネジで固定するだけの装置として設計されていました。ところが2026年、イタリアのサッサリ大学の研究チームが、緩んだ固定ネジを再び開けて確認した3例で、フレームのアーム部分が顎の骨に部分的または完全に覆われ、新生骨に包まれている様子が観察されました。標準的なインプラントのように骨と結合(オッセオインテグレーション)した可能性を示す初めての直接的な証拠ですが、3例のみの症例観察であり、これだけで骨結合が起きると断定することはできません。

製造方式をめぐる比較も進んでいます。チタンの塊を削り出すミリングと、金属粉末を積み上げて造形する3Dプリントを直接比較したランダム化比較試験では、生存率、骨吸収、埋入精度のいずれにおいても両方式に差は見られませんでした。どちらを採用するかは、医療機関の設備事情と術者の熟練度によって分かれました。

骨膜下インプラントは標準的なインプラントに取って代わる技術ではなく、骨移植も頬骨インプラントも使えない場合に残される選択肢として位置づけられつつあります。短期的な成績は安定していますが、その安定性が数年を超えても続くかどうかは、上顎を中心に依然として見極めが必要な問いとして残っています。