質問
鏡を見ていて、前歯の先端が以前より短くなり、奥歯の噛み合わせ面も平らになったように感じるという相談が寄せられました。特に痛いところはありませんが、歯全体が少しずつすり減って短くなった感じがするため、これを元に戻す方法があるのか、あるとすればどのような治療で回復させるのか知りたいという内容です。
簡単な回答
歯が全体的に短く見えるのは、たいてい一つの原因ではなく複数の原因が重なって現れます。回復方法を決める前に、まず何が歯をすり減らせたのかを見分け、咬む力がどこにどれくらいかかっているかも併せて確認する必要があります。原因をそのままにして表面だけを埋めると、新しく詰めた部分も同じ理由で再びすり減ったり外れたりすることがあります。部分的にすり減った箇所はレジンで埋めることができますが、強く噛み合う箇所であったり損傷が広い場合は、レジンだけでは対応が難しいことがあります。
なぜそうなのでしょうか?
まず何が歯をすり減らせたのかを見分けます
歯がすり減って短くなるのは、原因によって大きく三つに分かれます。
一つ目は咬耗症(歯同士がぶつかり合ってすり減る現象)です。上下の歯が直接かみ合うことで噛み合わせ面と前歯の切端がすり減る現象で、噛んでいる状態と正確に一致した平らなすり減り面ができるのが特徴です。年齢を重ねるほど歯同士が接する隣接面の接触面も広くなりますが、歯ぎしりや食いしばりのような習慣があるとすり減りがさらに速く進みます。朝に顎がこわばったり、寝ている間に歯を食いしばっているようだという話を聞くなら、歯ぎしりや食いしばりとの関連性も併せて調べてみる価値があります。
二つ目は摩耗症(歯と他の物体との摩擦ですり減る現象)です。誤った歯磨きの方法や研磨成分が多く含まれた歯磨き粉を長く使う場合によく見られ、歯肉と歯が接する部位がU字型に広く浅くえぐれた形になります。
三つ目は酸蝕症(酸性物質が歯のミネラルを奪ってすり減る現象)です。細菌とは無関係に、酸がエナメル質を直接溶かす化学的な現象です。酸味の強い果物や炭酸飲料のように食べ物として入ってくる酸は主に頬側の表面と噛み合わせ面に損傷を残し、胃酸の逆流や繰り返す嘔吐のように体の中から上がってくる酸は上の前歯の内側の面と下の奥歯の噛み合わせ面のように別の位置に丸く滑らかな欠損を残します。
下の図のように、三つはすり減る位置と形がそれぞれ異なります。

実際にはこの三つが一人に同時に現れる場合が多くあります。ここに咬む力が歯をたわませることで歯肉境界部にくさび状の欠損が生じる場合も重なることがあり、すり減った位置と形だけでもどのような力が長く働いていたのかを推測できます。
詰める前に咬む力と原因をまず確認します
歯質がすり減って薄くなった部位を埋めるかどうかは、損傷の深さと症状で判断します。冷たいものにしみる症状があったり、損傷の深さがかなりあったり、審美的に気になる場合は修復を検討します。損傷が浅く症状がなければ、まず原因を管理しながら経過を見ることもできます。
修復材料としてよく使われるコンポジットレジン(歯の色に似た充填材)は、歯の表面に接着して埋める材料です。ただし二つの条件で制約があります。一つは防湿です。接着の過程で唾液や水分が混ざると接着力が落ちるため、隔離がしっかりできる部位ほど結果が安定します。もう一つは咬む力です。強い力が一か所に集中する部位にはコンポジットレジン単独の修復が適さないことがあります。レジンとレジンインレーを比較する際も、残っている歯質の厚みと咬む力がかかる位置を併せて確認するのと同じ理由です。
咬む力そのものが原因のくさび状の損傷は、埋める材料を選ぶ際もこの点を考慮します。歯がたわむ程度に合わせて一緒に変形できる、弾性のある材料を使うと接着面にかかる負担を減らせます。

原因を管理しないまま埋めるだけでは、新しく詰めた部分も同じ力と摩擦に再びさらされます。歯ぎしりや食いしばりが原因であれば、就寝中に装着するナイトガード(歯を覆うソフトタイプの装置)を使って歯がさらにすり減るのを防ぐ方法も併せて用いられます。ただしこの装置は歯ぎしりの習慣自体をなくすものではなく、すり減りを防ぐ役割にとどまります。歯磨きの習慣が原因であれば、歯磨きの方法と歯磨き粉を変えます。酸性の食べ物が原因であれば、摂取の頻度と方法を調整します。こうした原因の管理が併せて行われてこそ、新しく詰めた部分も長く保たれます。
歯が複数本まとめて大きく短くなり、噛む高さ自体を改めて合わせ直す必要がある場合は、局所的なレジン修復とは異なる次元の判断が必要な問題です。このような場合は、原因の把握とは別に、全体的な咬合設計について追加で相談することが必要です。


